毎年2月頃、世界各国で盛大に開催されるカーニバル。語源はラテン語の「は「カルネ・レヴァーレ(肉よ、さらば)」で、宗教的な意味から行われていたが、地域の祭りや伝統が加わり、特徴ある祭典になっていった。なかでもヴェネチア・カーニバルは、趣向を凝らした衣装と仮面で仮装することで知られる、世界三大カーニバルの一つ。
本展では、ヴェネチア・カーニバルを「饗宴」「観劇」「賭博」「仮装」の4章に分け、宴を華やかに彩る装飾グラスやコンポート、今にも動き出しそうな躍動感溢れるガラスの人形などを紹介する。また「仮装」の章では写真家・坪谷隆氏が撮影した現代のカーニバルの写真作品を展示。ガラス職人の高い造形技術が詰まったヴェネチアン・グラスとともに、ヴェネチア・カーニバルの世界を楽しもう。
第1章「盛宴-肉よ、さらば-」
毎年2月頃になると、ヴェネチア(イタリア)をはじめ、リオ(ブラジル)やニース(フランス)など世界の各地でカーニバルが開催される。カーニバルの語源は、「肉よ、さらば」を意味するラテン語で、敬虔なキリスト教徒たちがイエス・キリストが行った荒野での40日間に及ぶ断食苦行を思い、復活祭まで肉や甘いものを食べるのを控えることに由来。
そしてその前に家族や親しい友人らと、肉をたっぷり使用した料理や甘い揚げ菓子などを食べるのがカーニバルの伝統で、最終日は「Martedí grasso(太った火曜日)」と呼ばれる程、十分に栄養を吸収し、苦しい期間に備えた。
そうした食卓を鮮やかに彩るテーブルセッティングも宴を盛り上げる重要な要素。この章では、豪華な食事に華を添えるヴェネチアン・グラスの繊細優美なワイングラスやコンポートを紹介する。
第2章「観劇-仮面喜劇コメディア・デラルテ」
カーニバルでは、食べることだけでなく、仮面をつけた演者による即興喜劇 コメディア・デラルテを見ることも楽しみの一つだった。コメディア・デラルテは16世紀中頃にイタリア北部で生まれて18世紀頃までヨーロッパ各地で流行し、シェイクスピアやモリエールなどの劇作家をはじめ、「トゥーランドット」などのオペラ作品にも大きな影響を与えた。この章では、人々が楽しみにしていたコメディア・デラルテの登場人物を表現した作品を中心に、ガラスの人形を紹介する。今にも動き出しそうな躍動感のある人形の表情や動きが、笑いに溢れた喜劇の世界へと誘ってくれる。
第3章「賭博-見知らぬ人との交流」
カーニバルの娯楽には、リドットと呼ばれる賭博場や仮面舞踏会もあった。本来、賭博は違法だったが、カーニバルの期間中のみ貴族の邸宅が会場となり、政府公認の賭博場が開かれた。このような場所を訪れる際には、バウータと呼ばれる白い仮面と黒い頭巾を着用しなければならなかった。仮装をすれば、身分にかかわらず参加が可能で、人々は日常生活では出会うことのない様々な人との交流ができた。賭博場には広間の他に小部屋を併設し、そこでは酒を楽しむバーやコーヒーやチョコレートドリンクを飲むカフェも設けられ、賭け事のみならず社交の場にもなっていた。この章では、カップやワイングラスなど、リドットや仮面舞踏会のミステリアスな雰囲気を一層盛り立てるような作品を紹介。
第4章「仮装-自分ではない誰かになる」
ヴェネチアのカーニバルは、仮面やマントで仮装することで身分や性別年齢に関係なくすべての人が平等に楽しむことができ、更には日常では出会うことのない相手との交流も大きな魅力だった。かつてヴェネチアは、社会的な階級の差が厳しく設けられており、仮装はそういった日常から解放されるため素顔を隠す小道具として始まった。
その魅惑的な享楽が次第に人々を魅了し、18世紀には半年間も開催されるほど長期化し、やがてヴェネチア共和国の終焉とともにその歴史の幕を閉じる。
約180年後の1979年、伝統を復活させるべくカーニバルは再開され、現在ではヴェネチアの優雅な街並みに似合う豪華な衣装と仮面が街を彩り、国境をも越えて誰もが自由に参加できる祭典となった。この章では、写真家 坪谷隆氏によるヴェネチアのカーニバルを撮影した写真作品を紹介する。
開催日 | 2025年1月25日(土)2025年4月13日(日) |
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会場 | |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48 |
アクセス | 「箱根湯本」駅からバス〈桃源台行き〉で25分、「俵石・箱根ガラスの森前」下車 |
TEL | 0460-86-3111 |
ホームページ | https://www.hakone-garasunomori.jp |
営業時間 | 10:00〜17:30(入館は〜17:00) |
休館日 | 毎年成人の日の翌日から11日間休館 |
料金 | 〈大人〉1,800円 〈大高生〉1,300円 〈中小生〉600円 |
施設情報 | カフェレストラン・ミュージアムショップ・水車小屋「アチェロ(オリジナル菓子のお店)」・体験工房 |
駐車場 | 有り(1日 300円) ※2025年4月1日、(1日 500円)に駐車料金改定予定 |
支払い |
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更新日 : 2025.01.15