現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノは、今日最も注目されるアーティストの一人。映像、音、彫刻、オブジェ、テキスト、ドローイングなど、作品は多岐にわたり、その意識は常に、現実・フィクション・仮想の境界へと向けられている。また、芸術や「作者性」の概念にも疑問を投げかけ、数多くのアーティスト、建築家、音楽家と共同で作品を生みだしてきた。
さらにAI等の先進的な科学技術を採り入れながら、ピアノ・ランプ・バルーンといった見慣れたオブジェを操り、ダイナミズムと沈黙、ユーモアと批評性が交錯する詩的な状況を創出している。展覧会そのものをメディアと捉える作家が構築する空間は、まるでシンボルの迷宮のよう。
国内最大規模の個展となる本展では、代表作である映像作品《マリリン》(2012年)を始め、1990年代の初期作品から初公開のインスタレーションまで、幅広い実践を多面的に紹介。
展覧会のみどころ
1. 現代のフランスを代表するアーティスト、国内最大規模の大型個展
パレーノは、ニューヨーク近代美術館やポンピドゥー・センター(パリ)、テート・モダン(ロンドン)など、欧米の主要美術館で数多くの個展を開催している。日本でも2025年の岡山芸術交流のアーティスティック・ディレクターに選任されるなど、今日もっとも注目される作家のひとり。本展では、そんなパレーノのドローイングから立体、映像、大規模なインスタレーションまで、ユニークな作品の数々を国内最大規模で紹介する。
2. 空飛ぶ魚の群れや巨大なスクリーン。照明と音に彩られた、壮大な「映画」の中に迷い込む
空間を自由に漂うバルーンの魚たち。誰もいないのに音を奏でるピアノ。打ち明け話をするように明滅するランプ。宙に浮いた吹き出し。夏の雪……。ノスタルジックで不思議な光景の連続は、驚きとともに強い引力で私たちを惹きつける。パレーノは自身の展覧会を、「カメラのない映画」と形容している。舞台セットのような空間に迷い込むと、超大型のスクリーンに投影された神秘的な映像が、私たちをも飲み込んでしまいそうな感覚に陥る。そんな壮大な「映画」の中を行き来しながら、アートを自由に体験できる。
3. いくつもの場所と空間をめぐる旅へ。あなたの世界はどこ?
お気に入りの音楽や本、映画の世界に没頭するとき、私たちはどこにいるだろうか?部屋の中や公園のベンチに座りながら、街中を歩きながら、電車に揺られながら、私たちは無意識に、とても簡単に、別の空間を旅している。そのとき私たちは、どのくらいこの世界と結びついているのだろうか?マリリン・モンローが住んでいたホテルのスイートルームから、森を眺める水槽の中へ。輝く雲が浮かぶ部屋から、海の底へ、漆黒の庭へ、そして宇宙へ。そんないくつもの場所と空間をめぐる精神と感覚の旅を楽しんでみては。
4. 箱根の森の中へ。唯一無二のプレゼンテーション
パレーノは世界各地で、その場所の特性や建築を活かした展示を構成してきた。本展では、太陽を追跡する大型のミラー作品などを、箱根の豊かな自然を背景に展開。また、色とりどりの魚たちが漂う展示室の大窓は、仙石原の深い森に臨んでいる。優雅にたゆたう魚たちとともに、会期を通して新緑から紅葉、冬景色へと木々の姿が移り変わり、季節や時間によって異なる光景を作品とともに堪能しよう。
開催日 | 2024年6月8日(土)2024年12月1日(日) |
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会場 | |
所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285 |
アクセス | 箱根登山鉄道「強羅」駅から施設めぐりバスで約13分 〔東名〕御殿場ICから約25分 |
TEL | 0460-84-2111 |
ホームページ | https://www.polamuseum.or.jp |
開館時間 | 9:00〜17:00 |
休館日 | 企画展・会期中無休(悪天候による臨時休館あり) |
入館料 | 〈大人〉2,200円 〈大学・高校生〉1,700円 〈中学生以下〉無料 |
施設情報 | レストラン・カフェ・ミュージアムショップ |
駐車場 | 有り(有料・1日 500円) |
更新日 : 2024.07.28